未経験で小売の販売員からWebデザイナーに転職した話
毎朝「いらっしゃいませー」とみんなで大声で復唱するような普通の店舗での販売員だった私が、職業訓練を3ヶ月受けて社内WEBデザイナーになった話を紹介してみます。
Webデザインとの出会い
販売員というITとはあまり関係のない仕事をしていた私がWEBデザイナーになったきっかけは、大学の頃サークルのホームページを作ってみたところからだ。
まだブログが出始めたくらいの時代。本当に手探りでサイト作成ソフトを使ってサイトらしき物を作り、プロバイダのフリーの20メガ程度のサーバーへアップロードするところから始める。
ついでなので自分の趣味のサイトも作ってみる。凄くしょぼいやつを・・・。
そのホームページに無料のアクセスカウンターをつけてみて色々なところと相互リンクしてみると微妙にアクセスがあった。
アクセスが増えるのが楽しくて結構まめに更新する日々。大学を卒業して社会人になってからも自分のサイトの更新は続けて色々な無料ブログを試したりしていた。
ただ、この時点ではHTMLもCSSも全く知らないタダの素人であり、仕事で使えるレベルではなかった。
販売員を辞めて職業訓練校へ
新卒で地元ではそこそこ業界大手のチェーン展開する会社で働いていたものの時代はITブーム、ライブドアショックとかもあったが、まだまだ景気も良かったので転職することにした。
たった7ヶ月しか販売員やってなかったけど、この時の労働経験は後に非常に役に立つことに。
何の仕事がしたいのか?全然決めずに、何となくITって響きがかっこいいとか言う理由で辞めたのでITってどんな業界なのかを調べ始める。
色々な職種があるらしい。SE、プログラマー、ディレクター、マネージャー・・・・何となく見ているとWebデザイナーという職種があるのを発見。響きがかっこいいw
そんな理由でWebデザイナーを目指す事にした。Webデザイナーに俺はなる!状態である。(ワンピース参照)
自分のサイトはあったけどどうやって動いてるのかとかもぼんやりしてるし、ひとまず学校へ行こうと探してみる事にした。
よく「学校なんか無意味だ」とか「資格なんてWebデザイナーに必要ない」とか言ってる人がいるけれど全くの初心者の場合はひとまず学校へ行って勉強するという事もいい事だと思う。初歩の初歩を教えてくれる。
多分、学校なんか無意味とか言ってる人は、Webの事をよく知っていて自分で色々と調べて勉強している人だと思う。俺のように生物系の大学から販売員とかいう経路をたどってる人間は学校行った方がいい。
某有名スクールへ話を聞きにいったら政府から補助金が出るから凄く安い金で学校へ通えるとの事だった。
ただ、安くてもお金がない状況で転職活動始めてしまったのでこの有名ハリウッドは諦める事にした。
ハローワークでWebデザイナーの求人無いかなと探していたら職業訓練校でWebデザイナー養成講座というのがあるというのを知る。
早速応募!
試験があるようなので神戸へゴー!
しかし試験はチンプンカンプン!ITの用語とか全然わからんわ!なんやねん!難し過ぎるで!”1ビットが何バイトでしょう?”「は?なんそれ?」ってレベルの人間には難しすぎる問題!
面接もあって普通に落ちた。
職業訓練校でウェブデザインの基礎のスキルを身につける
でも2ヶ月くらい間が空くけど大阪でも同じような職業訓練校があるみたいなので受けてみた。
倍率が低かったのか面接も無く筆記だけで普通に受かった。カリキュラム的に神戸より結構レベルが低そう。インターンとかも特にない普通の座学のみ。
この学校へ3ヶ月ほど通う事になったのだが喫煙所で友達になったメンバーで毎週飲みに行ったり、昼飯行ったりオールでカラオケ行ったりと年齢はみんなバラバラの割にずいぶんとリア充な学生生活をエンジョイした。
基本的に失業保険貰いながらカルチャースクール行ってる気分の女性が多かったよ。ここでWebデザイン勉強して内職で作った服売るサイト作って自営業とかもいた。いろんな目的の人たちが来とる。
ん?授業の内容?まぁ一応基本の基本はちゃんと教えてくれて、全く知らなかったHTMLとCSSを基礎から知る事が出来たw
ちょっとだけパソコンに詳しかったそのとき知り合った友人は勉強せんでもええわってくらいのレベルだったw
Photoshop、Illustrator、Flash、Fireworksなど、ほんとうにWebデザインで使うソフトの使い方一通り教えてもらえたかな?ってレベルで実務でバリバリ使えるようになるには自分で本買って復習するのが必須!厳しい世界や!好きじゃないと絶対無理やね。
言ってみれば書道のプロになりたい人間に、墨の擦り方とか筆の持ち方を一通り教えて、さぁあとはお前たちが自分で頑張れって送り出すような感じ。即戦力とは言い難い。
Web制作会社の門を叩く
3ヶ月という訓練期間が終わり就職活動開始!
意外に同期で訓練校行ってた人間はコミュ力が高かったのか未経験なのにガンガン就職が決まっていった。まぁ元フリーペーパーの編集してたとかの人とかが多かったし採る方も採りやすいわな。
俺なんかはパソコンを触る仕事した事無いしオフィスで働いた事すらない。ほぼ新卒レベルで未経験・・・。
絶望的に採用されないわけや。
しかも大阪という場所柄制作会社自体が少ない。求人数も少ない。
こんなところでど素人の俺をWebデザイナーとして採用するような会社は無いわ。
ひとまず派遣会社に登録した。派遣ならあるだろと最初は派遣で経験を積んでからWeb制作会社に入ればいいんじゃね?
って甘い考え。
派遣会社からの連絡は無かった・・・。
大阪絶望的に求人が少ないのかぁとしょうがないので東京で働く事にした。
飛躍し過ぎ?
いや、Web制作の拠点はその頃2007年の時点では4割以上東京に集中してたのだ。多分今もまだ4割くらい東京。
着の身着のまま上京してアパートを借りて一人暮らししながら面接へ行く。
Webデザイナーで応募したはずなのにシステムのテスト要員だったりなんかWebライターだったり希望通りの配属が見込めないところばかり・・・。
東京でも未経験から正社員はきついと判断して派遣会社へ登録。
ひとまず一人暮らしで金が無いのでなんか入力の仕事とかでもいいからやろうと思い、待っているとすぐにそんな感じのしょぼい仕事が来た。重要なのはオフィスで働く事や!ってことでお願いした。
そしたら既に採用枠埋まってましたとの無慈悲な通告・・・。でも、他の会社で未経験でもいいからWebデザイナー欲しいというところがあるという事でラッキーと即面談へ!
企業の自社コンテンツを作る社内Webデザイナーへ
巨大なビルの高層階のオフィス。
外人だらけのオフィス。なんと、はじめてのオフィスは外資系の企業のオフィスなのであった。
外資系の企業の働き方はホワイトで定時に帰れるし、有給もみんな消費しまくり。
英語出来無くても外資はおすすめ。
でも派遣社員という立場も非正規雇用で不安定だし、お給料も安くて交通費も時給に含まれてるし、社内で俺しかWeb担当がいないというのも寂しいしということで、1年ちょいで辞めた。
たった1年ちょいだったけど、担当が私しかいないという事もあり、結構な数の実績を作成する事が出来てフルフラッシュサイトとかもいくつか作った。
この時、先輩は入った時点で引き継ぎも何もかも投げ出してバックレてしまっていたので、仕事はわからないことだらけだったけど全部Googleの検索に頼って作っていた。Google先生最高だよね。
プログラマーとかSEとか
1年ちょいの経験でWeb制作会社が採用してくれるか?というとノーである。
1年ちょいではこの業界で即戦力というには乏しい。後で知ったけど最低3年は働かないと経験者としては実力不足と見られるらしい。
よっぽどコミュ力が凄いとかじゃ無いと中々採用されない。
ゲームの会社とかWebと関係ない感じのポジションを言ってくる。
会社は辞めたが給料が安過ぎたので貯金はほぼ無いという事で、ひとまず何でもいいからWeb制作会社に潜り込んで頃合いを見計らって転属希望を出してWebデザイナーにさせてもらおうとシステム開発メインでWebデザインもやってる会社へ入る。
システム開発9割で飲食店経営とかの事業をしている会社だったが、やはり売り上げのほとんどはシステム開発なので、俺もシステムインテグレーターという肩書きに。
やる仕事はシステムがちゃんと動くかのテスト行程の要員が5割で社内の業務Webアプリ作成、会員登録システムを作って手書きの会員登録書類を入力するシステムとか、イントラ用の発注システムの更新とか雑務がほとんど。
たまに炎上しているWebデザイン案件が来たりしたが夜中4時とか5時まで作業して椅子で寝てまた朝から働くとか・・・。IT業界でよく聞くデスマーチってやつを初めて味わうことが出来たのもこの会社だった。
そんなシステム開発会社に1年くらいいて気付いたのが、こういうシステム開発の会社って女性が凄く少ないわけ。
だからWebデザインというかろうじて女性に人気がありそうなポジションは女性用のポジションとして存在しているので男がそのポジションに入る事はまず無いということ。
プログラミングが好きな女は多分5%くらいしかいない。
社長は女好きなので事務員は3人全員女性。女性比率を上げるためにデザイナーは女にしたい→俺の転属希望は一生叶わない・・・。
結果的に3年ほど働いて、この会社でプログラミングをかじれたことでだいぶレベルアップできた。
VBとかコールドフュージョンとかいうプログラミング言語使ったけど、htmlみたいに適当に書いても動くようなもんじゃないからすごく細かいチェックができるようになる。デバッグってやつやね。
あとテキストエディタのインデントをちゃんと揃えるとか、コメントを残すというようなチームプレーを考えたコーディングが出来るようになった。
転職エージェントを使って本格的に転職活動
さすがに4年もWebと関わりながら仕事をしてきたので結構選択肢が増えてきた。
今回は年収アップも期待出来るので転職エージェントにお願いする事にした。
ゲームアプリを作る会社が結構多い。
俺が無駄に前の会社でプログラミング出来るようになってしまったせいでLAMP開発者募集に引っかかりまくりプログラマーとして色々なところに紹介される。
確かにWebデザイナーの求人よりも給料面ではいいところが多い。
とりあえず面接に行ってみると明らかに俺がドットネット開発経験者だから呼んだ感じ。
面接というより働き方みたいな説明を受ける。もう既に入社前の説明みたいになってる・・・。
頑張り次第では一千万も稼げるらしいが土日とか全く休めないような語り口なので逃げた。
やっぱり土日は休みたい・・・。
SEO会社とかインハウスWebデザイナーとか最終面接まで行くも落とされる。
他に最適な人が見つかったとか。まぁ今となってはよかったと思う。
SEO会社なんてひたすらサテライトサイト(バックリンク用の無価値なサイト)量産させられるだけだし、インハウスのところは激務でブラック認定されているところだった。
結局、小さいけど金はいくらでもある感じの会社に入社。
某携帯キャリアと太いコネがあって直受け100%で仕事が入るから粗利が凄いらしい。
年収も大幅アップでやったね!
と思ったらブラック企業だったので一ヶ月でまた退職…。ブラック企業で働くぐらいなら無職を選ぶ!
正真正銘のWebデザイナーへ
一ヶ月で辞めちゃったのでお金が全然ない。
しょうがないので適当にFind Job!という転職サイトの上から順番に応募しまくる。
こんな辞め方したのでエージェントはしばらく頼れそうにないからね・・・。ファインドジョブは給料安い金のない会社が多くてイマイチな転職サイトだけど人手不足に困っている小さい会社が多いので採用のテンポは超早い。
ひとまず2社ほど面接に行くことになり、1社目は六本木。
変なマンションの一室みたいなところで面接。
変な人(江南スタイルのPHYみたいな)が面接してくれたのだがこれが後の上司。
2社目はファインドジョブの募集の内容よりも安い給料で働いてくれるなら採用と言ってきた。
原宿のおしゃれなオフィスでパソコンもマックという素敵な会社だったが金が無い会社は嫌なので六本木の方にした。
上司は元料理人とか言う不思議な経歴の持ち主で、キャラが凄いが出来る人だったのでひとまず頑張って働く事に。
変な会社だったもののWebデザイナーとしてバリバリ仕事をこなす事が出来る環境最高!だった。
まぁデスマーチに何度か巻き込まれ、地獄の2週間泊まり込みとかオフィスでガチ喧嘩とか色々あったが割といいWebデザイナー生活だった。
ここで2年ほど働いたものの、東京で働くのは俺の本望ではないので大阪で働くために辞めた。
その後、大阪でフリーランスとして働きながら派遣会社に登録しておき、時々条件のいい仕事が入ったら働く感じでのらりくらりと5年近く生きてきた。
私が未経験からwebデザイナーになった話のまとめ
7年ほどのWebデザイナー経験で、一番重要だなと感じた事は結局Webデザイナーでは給料が低いままの場合が多い。
ディレクションをバリバリ出来るようになって、プロデューサーと企画とかを提案するようになれば、高給が期待出来るだろうが作業員では年収400万以上は望めない。
フリーならもっと稼げるかもしれないが、年棒制の会社員だと残業代すら支払われない。
ボーナスは7年で1回しか貰った事が無い。
ちなみに30歳の俺の年収は会社から支払われていたのが360万円(2014年時点)。これが現実。
Webデザイナーは本当に好きだからこそできる仕事で、将来フリーランスで働きたいとか、自宅で働きたいと言う明確な目標があってこそ続ける事のできる仕事なのである。
金が欲しければもっと他にいい仕事がある。
ただ、それなりの技術を身につければ職にあぶれる事は一生無い職種ではある。
前の会社でも40代のWebデザイナーが2人いたが、普通の仕事だと40超えて転職となると中々採用が決まら無い事があるだろう。
40でも50でも職がいっぱいあるのがWebデザイナー。それなりに開発経験のあるレベルの人間は常に足りていない。(ペーペーはいっぱいいるが教育する余裕は無い)。この流れはあと20年は続くだろう。金が足りなければネットで探せば色々な副業があるというのも美味しい。
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