Webデザイナーの将来性について
今回はウェブ業界で10年以上働いてきた私が今後のWebデザイナーの仕事について考えてみる。
Webデザイナーはオワコン
これは私がWebデザイナーとして働き始めた頃から言われていたことだ。Webデザイナーと言う仕事には将来性が無いと言われていた。何故か?
Webデザインはどんどんと新しいソフトが生まれるごとに簡単になっていき、どんどんと自動化されていくからWebデザインなんて仕事は無くなってしまうという意見だったり、どんどんと分業化が進みいわゆるWebデザイナーと言う仕事は無くなるという意見だったりする。
確かにグーグルが無料で会社のホームページを簡単に作ることのできるツールを開発したり、分業化が進んでコーダーやフロントサイドエンジニアなどかなり様々な職種に分かれてきている。
参考
そして最近では、AIによってオートメーションでウェブサイトが作られる時代がすぐ近くまで来ていると言われている。
事実Webデザイナーという仕事はオワコンにしか見えない。他の業界の人間からすると。
Webデザイナーの仕事は減っていない
無料ツールや分業でWebデザイナーの仕事は減ったか?と言われると減っていない。
何故か?
まず無料ツールでWebデザイナーの仕事が減らない理由を書いてみよう。
ネットの世界はプロと素人の差は大きい
無料ツールで企業のサイトを作ったとする。社内のネットに詳しいと言われる人物が自社のサイト作成を任され一生懸命作るわけである。
プロではない人間がサイトを作った時にどうなるか?と言うとなんか微妙な感じになる。
何故か?余白が少なかったり改行の場所がおかしかったり、行間が詰まりすぎていたり文字サイズが小さすぎて読みづらかったりと言ったプロなら必ず気をつけて作るポイントが素人にはわからないからである。
結局せっかく作ったけどなんか微妙だからプロに作りなおしてもらおうということで予算が余ったりした場合の年度末辺りにWeb制作会社に依頼する。
というわけで無料のウェブサービスでサイトを作る企業と言うのは本当にお金のない小さな会社であったり、サイトからの集客がなくても十分に商売のできており、今後もWebからの集客を考えていない企業というぶっちゃけこれまでもお客さんには成り得なかった層なので基本的に無視できる。
ウェブサイトを利用して売上を向上させたいというような企業は、ちゃんとしたサイトを作ろうとするので普通は無料のツールでは作らない。経費の使い方を知っているからである。
お金のない会社と言うのは少ない予算で色々と無茶なことを言ってきたりする困ったお客さんであることが多いため、こういう予算のない企業がWIXやJimdoのような無料で作れるWebサービスに流れてくれるのは仕事をする上でも良いことだったりする。
また、無料のサイトを作って結構そこから売上が上がった場合、サイトの価値を見直しお金をかけてもっと良いサイトを作ろうと言うお客さんもいるため無料ツールにお客さんを増やしてもらえる可能性もある。
結局無料ウェブサービスがWebデザイナーの仕事をすべて奪う結果にはならないというわけだ。
分業化が進むことでWebデザイナーの仕事は無くなる
分業化はたしかに進んでいて、私がWebデザイナーとして仕事を始めた10年前はFlashもデザインもコーディングも何もかも一人で全部できるのが当たり前の時代だった。
それが今ではかなり細分化されていて大きめの仕事になるとフラッシャー(Flashで作ったプログラムをHTML5に変換する)やコーダー、デザイナーとそれをまとめるディレクターと言った構成で仕事をこなしたりする。
いわゆるWebデザイナーは存在しない。
ただ、小さなサイトを作成する場合はWebデザイナーが全てやる場合もある。特に私のようなフリーランスのWebデザイナーの場合恐らくそういう仕事がほとんどになる。
私の場合はディレクターの人に仕事を振ってもらっているのでディレクションは任せているが、サーバー設定からデザイン、コーディング、WordPressの組み込みなどワンストップで仕事を受けている。
Web制作会社でもこういった小さな仕事は結構あって不動産案件は新しいマンションが売り出されるたびに新しいサイトを作成しなくてはならないので小さなサイトがたくさん必要になる。
クライアントに大手の不動産につながっている代理店がいると結構こういった案件で修行できるだろう。
未来のWebデザイナー
最近の仕事を見ているとすでにサイトを持っている会社がほとんどなので、新規サイト立ち上げの仕事は減っているが、昔作ったサイトをリニューアルしたいという顧客は増えていてスマホ対応などの仕事も結構入っている。
私の感覚としては最近になってやっとウェブサイトを企業の営業ツールとして使いこなせる会社が増えてきたというのを肌で感じている。
昔は取りあえずサイトを作って公開しておけばいいやみたいな仕事が多かったが今はウェブを使った戦略を考えている企業が多く、売上を増やすための武器として考えている。
そのためアクセス解析のコンバージョンに関してもかなりシビアで、常にPDCAを回すことを考えているので修正依頼は多くなりその分仕事は増えている気もする。
半年ごとにサイトリニューアルするのが当たり前のような会社すら存在していてWeb制作会社としては非常にありがたいお客さんが増えている。
それ以外にもLP(ランディングページ)作成の依頼がとても増えており、グーグルに広告を出してこのLPに誘導し自社製品を売っていく手法が当たり前になっているようだ。
サイト制作としては儲かる案件ではないがネットでものを売るのが当たり前という考える企業が増えているのを感じる。
この流れはまだ始まったばかりだと感じる。
前に努めていた会社にいた東大卒の凄腕プログラマーの人が言っていたのだが「産業革命は100年続いてもまだ主流、IT革命も100年先も続いている」という言葉に私はIT革命に関わるWebデザイナー、Webプログラマーの仕事は100年先も必ず存在していると確信した。
この時代にインターネットが無くなることはまず考えられず今後100年我々が死ぬまでWebデザイナーの仕事は存在しているだろう。
ただ、Webデザインというのは非常に参入障壁の低い仕事であるためちゃんとした技術力がないWebデザイナーは確実に淘汰されて消える。
Webデザイナーを続けていけるかどうかのハードルは高くなっていくのではないだろうか?本当にWebデザインが好きで自ら学び続ける人間とそうではない人間とで大きな格差が生まれるだろう。(今でもすでに生まれているが更に格差は広がりそう)
今後はコンテンツのWeb化が進む
Webの世界が急激に発展していて、キュレーションメディアを始めとしたコンテンツマーケティングが今のトレンドになっていて、オウンドメディアを作る企業が増え続けている。
そうなってくるとWebデザイナーの仕事は必然的に増える。なぜか?これまでPDFなどで管理されていたコンテンツを全てWebにアップする作業が必要だからだ。
最近受けた仕事の一つがまさにそういった仕事で、これまで紙で発行していた会報誌を全てWebにするという仕事が来た。かなりの規模の仕事だったが全てワードプレスで作成する仕事だったのでそれほど難しい仕事ではなかった。
今後は過去に紙媒体として世の中に広まってきたもののWeb化が進むと感じている。電子書籍を始めとしてまだまだWebに必要なコンテンツがWebに足りていない。
そう考えるとまだまだWebデザイナーの仕事は存在していると言えるだろう。
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